線路沿いの帰り道
寒さに肩を縮ませて
空はとっくに暮れきって
夜が僅かにのぞいてる
 
くすんだカーブミラー
赤錆びた「テナント募集中」
 
通り沿いの並木の枝は
みんな裸で震えてた
この北風はこれ以上
木から何を奪えるだろう
 
吹き溜まる枯葉
息の白く上る様
 
顕在する諸現象と
それを表すひとひらの言葉
その薄っぺらな葉身が
どんな隙間にも滑り込んで
ことごとく、余すところなく、冬が来た。
 
街に
道に
家に
ふとんの中に
 
いくらわたしが震えても、
春は、まだ、来ない。